Home 大会・研究会 研究会 華僑華人文学研究入門2――日本語で読む馬華文学

華僑華人文学研究入門2――日本語で読む馬華文学

7月21日(金)19:00-21:00(Google Meetオンライン)

舛谷鋭会員・立教大学

 

華僑華人文学研究入門(3回シリーズ)の2回目。日本語への翻訳という観点を導入することで、馬華文学のテクストをめぐる間テクスト性のさらなる深淵を、研究会参加者(受講者)それぞれが感じとった研究会であった。そこで何を学んだかは、研究会参加者(受講者)それぞれの胸中にあり、そのうち何らかの研究成果として本学会のディスカッション・ペーパに現れてくるはずであるが、筆者にとってとりわけ示唆的であったのは、規範性と審美性を基準とする言語とシミュラクルの鬩ぎ合いのはざまで書かれたテクストが、日本語を介することによってある種翻案されるという事態である。「ロンダリング」と表現することができるかも知れないこの事態は、すでにさまざまな批評家によって「密航」や「密輸」という語によって表現されてきた。こうなってくると、対象との距離を保ってきたと考えられてきた華僑華人研究のテクストも含め、日本語によるテクストは、馬華文学と同じ地平、あるいは渦中にあるようにも思えてくる。このオンライン研究会は、そうした地平や渦とはどういったものなのか、言語を機能主義的に捉える観点から東アジアのオラリティとエクリチュールを再考するまたとない機会となった。